儲かる農業を考える会

  • 第2期認定者
  • きゅうり

IZUMO VEGEイズモベジ

神田 颯太

scroll

就農時は不安よりも期待の方が大きかった

――率直に農業は儲かる産業ですか?
儲かる産業だと僕は思っています。そういう思いもあったので、この業界に参入したというのもあります。農業は、自分がやった分だけ結果がちゃんと返ってくるものなので、そこは魅力だと感じています。
――新規就農は資金面でも大変だと思いますが、不安はありませんでしたか?
そうですね、確かに初期投資はすごく大きかったんですが、長期的な目で見たら全然問題ないかなと。なので、最初から「どうしよう」という気持ちよりは「楽しみだな」という気持ちの方が強かったですね。このハウスは8年リースなので、8年後には完済するということなら良いのかなと思っていて。そんな感じで、8年、10年と長いスパンで見たら、特に心配することはないなと思っています。自分の「苦」ではなく「楽しみ」で投資ができるという感じですね。
そうは言っても、初期投資は大きすぎたので削った部分はあります。でも、どうせ最初から建てるなら良いものを建ててやろう、良いものを買ってやろうという感じで、プラスに考えて投資しました。
――やはり、そこを抑えると収穫量などに影響しますか?
そうですね、他の方に「ここをケチって後悔した」という例も聞いていたので、僕はケチらずに最初はしっかり投資しよう、という気持ちで良いものを選びました。後で回収すればいいし、できるだろう!と思っていました。
――どのタイミングで回収の目処が立ちましたか?
僕の先輩に新規就農された方がおられて、その方の数字を見せてもらった時ですね。その数字で、「ここまでは投資しても大丈夫なラインなんだ」ということを判断しました。そして、昨年1年間やってみて、「あぁ、やっぱり間違ってないんだな」と実感しました。
――実例を見るとイメージしやすいですね。農家同士の交流はよくありますか?
はい、その先輩とは近所なので頻繁に会う仲です。作業で失敗したら、お互いに色々と話したりして。教えてもらったり教えたりと、切磋琢磨してやっています。他にも、農業をしている友達が全国に多くて、しょっちゅう「あれはどうやるんや?テレビ電話で教えて」など、情報交換を良くしているので楽しいです。
――皆さん農業をポジティブに取り組んでおられるんですね。
そうですね、みんな「大変」とか言っているんですけど、それでも笑っているので楽しいんだと思います。僕も、けっこう周りから「儲からんやろ〜」みたいなネガティブなことも言われるんですけど、内心「いや、そんなこともないけどな〜」と思いながら楽しくやっていますね(笑)。

楽しそうな農家さんを見て自分も農業の道へ

――農業をしたいと思ったきっかけは何ですか?
急にしたいと思ったわけではなく、何となくそう思っていました。祖父母が農業をしているので、ずっと身近にはあって。大学も農学部を選んだのですが、まだその時は農業をやろうとは考えていませんでした。20歳くらいの時に農家の友達がけっこう増えて、「あ、俺もやりたいな」と思って動き始めました。農家さんたちが楽しそうにやっているのがとても魅力的に見えたんですね。「仕事に行くの嫌だな」と言う人がたくさんいる中で、楽しそうに儲けているというのがいいなぁと思って、自分も就農することを決意しました。
――それからどう動きましたか?
とりあえず、農業バイトをしました。3、4軒して、その後は農業系の会社に就職したんですけど、ちょっと合わなくなって。それで、大学を卒業する直前に、こっちできゅうりを教えてくれる方がいらっしゃったので、その方に直接「教えてほしいんですけど」と電話しました。そうしたら「いいよ」と快諾していただき、実際に教わることになりました。
――「きゅうり」を選んだ理由は何ですか?
きゅうりを教えてくれる人がいたからきゅうりを選びました。元々はナスをやっていたんですが、やるならきゅうりかトマトかナスのような野菜をやろうと思っていました。特に野菜の品目にこだわりがあるわけではなくて、「きゅうりが儲かるよ」「楽しいよ」とか「教えてくれる人が近くにいるよ」という情報を得て、「じゃあ!」という直感で決めました。
――最初は何を準備しましたか?
お金を準備するために、たくさんバイトをしました。ある程度用品が揃ったら、その他は借りたり、リースハウスを利用したり。機械類は、補助金を申請して購入しました。
就農計画はよくわからなかったので、周りの人に聞いて「あれはダメ、これは良い」ということを教えてもらって、その通りに書いて提出しました。

会に参加して自分の考え方も作り方も良い方に変わった

――「儲かる農業を考える会」について教えてください。
土づくりにかかる肥料代とか、勉強代などを支援していただいています。レベルが高い方の話はとても参考になります。一言一句のすべてが身に付くという感じがします。例えば、新規就農者同士で話していても、実際は素人と素人が話しているだけなので、学べる知識が不確かなものだったり、間違っていたりもするんですけど、やはりトップの人の話はちゃんと理にかなっているというのもあって信頼性があります。そういう方たちの話を聞けるのは、すごく貴重ですね。
――その話を聞いて、実際の作業の中で活かされているところはありますか?
はい。昨年はきゅうりを作るというよりも、とりあえず「お金を生み出そう」ということしか考えていませんでした。美味しいものを作るという概念がなかったんですね。正直、形をしていればきゅうりだと思っていたところもあります。そんな感じでしたが、今はすごく味にこだわっています。とにかく、昨年とは考え方も、作り方も全然違います。すべて、良い方に変わっています。儲かる仕組みについてもちゃんと学ぶことができているので、本当にありがたいです。
――プラスになることが多いのですね。今後、この会に期待したいことはありますか?
そんなにないですね。むしろ、今してもらっていること以上に何があるんだろう、という感じです。今はとりあえず、自分の技術力を上げることが一番ですね。
――最後に、今後就農される方に向けてメッセージをどうぞ。
どんなことに関しても言えますけど、人の話はちゃんと聞くことが大切かなと思います。人の話を聞いて、それをちゃんと実践する。あとは、自分が思っている計画通りには絶対に行かないので、めちゃめちゃ余裕のある計画を作ること。カツカツの計画だと、けっこうダメになってしまうので。そういう計画性のゆとりも大事かなと思います。 あとは、例えばここで農業したいと思った時に、その地域で一番上手な農家さんに話を聞いたり、自分より前に新規就農された先輩の「これやっておけば良かった」という話を聞いたりして、自分のやり方に取り入れてほしいです。とりあえず、聞くことはタダなので、どんどん皆さんの話を聞いてください。

潮田氏のコメント

神田さんは、新規就農二年目になります。キュウリの施設栽培を周年で経営されています。
2年目の今期、儲かる農業の会の認定者になられた神田さんには、今後、10年後を見据えての経営指導をまず初めにさせていただきました。また販路開拓の重要性と負けない経営のアドバイスを。
また栽培指導としては、キュウリの味や、品質による肥料の効果の有無の判別方法を指導させていただきました。肥料は施用したから効果が表れるのではなく、その状況状況を適切に見極めて、肥料の効果が表れるように適切に行うことが重要です。特に農業は五感で感じる力を培うことが必須となります。新規就農二年目の今季は、地域の方が天候不順で収量が伸びず、前年対比8割のところ、1カ月前までは1.1倍。そして現在は、夜まで収穫しても取り終わらないほどの収量を上げております。日本トップクラスの収量に近づいており、今後の経営に期待が持てます。このまま順調に伸びていってほしいと思います。